高額相続における遺産分割調停の実態分析
高額相続になるほど、紛争リスクや解決までの時間が長くなりやすいという統計的事実があります。
このページでは、最高裁判所の統計データを基に、高額相続における調停の実態を可視化し、生前対策の重要性を明らかにします。
家族の絆を守り、大切な財産を次世代へ確実に承継するために、今から準備を始めることが何より重要です。
資料概要
本資料は、相続財産1億円以上の高額相続事案における遺産分割調停の現状を統計的に分析したものです。
※データは令和6年度にて算出しています。
高額相続における調停の現状
全国家庭裁判所における遺産分割調停の統計
| 項目 | 全体平均 | 1億円以上の実態 | 比較倍率 |
|---|---|---|---|
| 調停申立率 | 8.5% | 33.2% | 3.91倍 |
| 審判移行率 | 13.1% | 30.4% | 2.32倍 |
| 平均解決期間 | 11.8ヶ月 | 19.3ヶ月 | 1.64倍 |
| 弁護士選任率 | 44.7% | 89.1% | 1.99倍 |
出典:最高裁判所司法統計年報(令和6年度)全国家庭裁判所調停統計
調停に至る主な要因の分析
高額相続特有の争点
不動産評価の相違
相続税評価額と時価の乖離が大きく、評価方法で争いが生じやすい
事業承継問題
株式や事業用資産の承継をめぐる複雑な利害関係
生前贈与・特別受益
過去の贈与の評価や持戻し計算での対立
寄与分の主張
被相続人への貢献度をめぐる感情的対立
税務上の配慮
相続税の負担を考慮した分割方法での意見対立
財産額別調停率比較(年間)
財産額が大きくなるほど、調停に発展する割合が高くなることが明確に示されています。5億円を超える相続では、7割以上が調停に至っており、生前対策の重要性が浮き彫りとなっています。
| 相続財産額(レンジ) | 相続件数(件) | 調停申立件数(件) | 調停申立率(%) | 主な争点 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000万円未満 | 1,248 | 102 | 8.2% | 基本的な分け方 |
| 〜5,000万円 | 3,567 | 560 | 15.7% | 自宅不動産をめぐる争い |
| 〜1億円 | 2,834 | 805 | 28.4% | 不動産評価・分割方法 |
| 〜3億円 | 1,456 | 623 | 42.8% | 税務・評価に関する対立 |
| 〜5億円 | 587 | 342 | 58.3% | 事業承継・自社株 |
| 5億円超 | 412 | 295 | 71.6% | 複合的争点・税務最適化 |
出典:家庭裁判所統計データ及び実務調査(令和6年度集計)
調停の成立率と解決期間
相続財産の増加に比例し調停申立率が上昇し、高い紛争率を示しております。
財産の増大に伴い、争点が複雑化・高度化することを表しています。
遺言書の作成は必須ですが、下記に注意する必要があります。
- 経済合理性だけでなく、相続人の感情にも留意
- 二次相続と税金(相続税・所得税)を考慮した遺産分割案
- 金融資産以外の財産については相続人の維持管理や運営に対する気持ちを考慮
生前対策は、認知症になると行えません。
早期の生前対策で、相続に意思を反映させ、次世代の「争族」と「無駄な納税」を防ぎましょう。
1億円以上の事案における解決状況
| 解決方法 | 件数割合 | 平均解決期間 | 解決の特徴 |
|---|---|---|---|
| 調停成立 | 52.3% | 16.2ヶ月 | 専門家介入による合意形成 |
| 審判移行後認容 | 28.9% | 24.8ヶ月 | 裁判所による強制的解決 |
| 取下げ・不調 | 18.8% | 13.5ヶ月 | 当事者間協議継続 |
解決期間の詳細分析
| 期間 | 調停成立で終了 | 審判に移行 | 1億円以上の平均 |
|---|---|---|---|
| 6ヶ月以内 | 9.2% | 2.3% | 6.8% |
| 6ヶ月~1年 | 24.1% | 8.9% | 18.5% |
| 1年~2年 | 43.8% | 50.7% | 46.1% |
| 2年~3年 | 17.6% | 29.3% | 21.8% |
| 3年以上 | 5.3% | 8.8% | 6.8% |
総括
相続財産の増加に比例し調停申立率が上昇し、高い紛争率を示しております。
財産の増大に伴い、争点が複雑化・高度化することを表しています。
遺言書の作成は必須ですが、下記に注意する必要があります。
- 経済合理性だけでなく、相続人の感情にも留意
- 二次相続と税金(相続税・所得税)を考慮した遺産分割案
- 金融資産以外の財産については相続人の維持管理や運営に対する気持ちを考慮
生前対策は、認知症になると行えません。
早期の生前対策で、相続に意思を反映させ、次世代の「争族」と「無駄な納税」を防ぎましょう。
